研究センター

慶友痛みセンター

術後鎮痛チーム(Acute Pain Service:APS)とは、手術後の痛みを可能な限り減らすことを目的としたチームです。当センターのAPSは、手術された方が安心・安全な入院生活を送れるよう支援を行っています。

慢性疼痛とは、怪我をしたときに感じる痛み(急性痛)とは違い、治るはずの時期を過ぎても痛みが残る場合を指す言葉です。このような慢性疼痛は抑鬱や無気力を引き起こし、自立した生活を困難なものにします。 当センターは慢性疼痛の方に対しても、認知行動療法(痛み教室)に基づく治療を行っております。認知行動療法は心理療法の一種であり、全国的に行っている施設は少なく、先進的な取り組みとして行っております。

一人でも多くの方が痛みにとらわれる生活から脱却し、自立した生活が営めるようになることを願っております。

センター長 鈴木英雄
副センター長 藤田 尚
塚本 昇


術後鎮痛チームの取り組みについて

術後疼痛チーム(Acute Pain Service:APS)とは

手術後の痛みを可能な限り減らすことを目的としたチームです。手術後の痛みやそれに伴う不安を和らげることは誰しもが望むことだと思います。当センターのAPSは、手術された方が安心・安全な入院生活を送れるよう支援を行っています。

チームメンバー

麻酔科医2名、看護師12名、理学療法士2名、薬剤師1名で構成されています。

麻酔科医 身体・精神面の様々な症状を緩和します。
看護師 全身状態を管理し、痛みや不安の軽減を支援します。
薬剤師 痛みを和らげるための薬について相談に乗ります。
理学療法士 体の機能を改善させ、安心・安全な入院生活を送れるよう支援します。

取り組み内容

➀全職員を対象とした講習会の実施

講習会の様子
【講習会の様子】

APSのメンバーが中心となって職員に対して講習会を実施しています。
講習会を通じて職員が手術後の痛みに対して適切な対応ができる体制作りを行なっています。

➁チームカンファレンス

チームカンファレンスの様子
【チームカンファレンスの様子】

チームカンファレンスでは、痛みのコントロールが十分に行えなかった方の検討会や痛みを評価する指標の見直しなどを行っています。
多職種で意見を出しあって治療方針や評価方法の検討を行うことで、より有効な治療・看護ができるように努めています。

➂ご自身で鎮痛薬を投与できる機器の導入(Patient Controlled Analgesia:PCA)

PCA
【PCA】

手術後の痛みの軽減方法の一つとしてPCAというご自身がボタンを押して痛み止めを投与する機器があります。PCAは痛みを感じたらご自身のタイミングで使用できるため、痛みや不安の軽減にも有効です。
当院では、手術前日に手術室の看護師がパンフレットと実物を利用してPCAの取り扱い方法を説明しています。

④エコーガイド下神経ブロック

エコーガイド下神経ブロック
【エコーガイド下神経ブロック】

関節手術後の痛みに対処するため、麻酔がかかった後に局所麻酔剤を使用して神経ブロックを行なっています。神経ブロックはエコー(超音波画像診断装置)で神経を見ながら行うことで安全かつ確実に実施することができます。
神経ブロックの持続効果は手術後12時間程度ですので、最も痛みを感じる時間帯に痛みを減らすことができます。


認知行動療法(痛み教室)

認知行動療法とは心理療法の一種であり、注射や薬は使用しません。慢性的な痛みは脳に変化をもたらし、痛みを抑える機能を低下させて痛みを強く感じるようになることがわかっています。
認知行動療法は1泊2⽇で⾏います。講義と実技や軽い運動で構成されており、講義は「痛みのメカニズム」、「痛みの管理方法」、「睡眠の改善方法」など多岐に渡ります。痛みを正確に知ることで不必要な不安を取り除き、前向きに考えることができるようにサポートします。前向きな考えは前向きな行動を促進します。「痛くてできない」が「痛いけどできる」に行動変容されることを目的としています。痛みを直接的に減らすことができる魔法の治療法ではありませんが、行動変容によって、多くの方が感じる痛みが減ったことを実感しております。

※不定期開催となっております。

認知行動療法(痛み教室)のスケジュール例

1日目
10:00 – 10:10 開会式・オリエンテーション
10:10 – 10:40 スタッフと参加者紹介
講義:慢性痛のメカニズムと本企画の目的
10:40 – 11:30 講義:治療薬の現状
講義:自動発想と痛み(座学)
11:30 – 13:00 昼食
13:00 – 15:00 個別面談
実技:呼吸法
実技:身体機能評価
15:00 – 15:10 休憩
15:10 – 15:40 実技:漸進的リラクセーション
実技:視覚イメージング
15:40 – 16:00 講義:楽しい活動の計画
16:00 – 17:00 講義:怒りの鎮め方
17:00 – 17:30 講義:認知法再構築・慢性痛リハビリテーション実例
17:30 – 19:00 夕食
19:00 部屋へ移動
2日目
7:50 – 8:30 朝食
8:30 – 9:00 休憩
9:00 – 9:40 実技:自動思考ワーク
実技:呼吸法の復習
実技:漸進的リラクセーションの復習
 9:40 – 10:20 実技:痛みがある時の生活の工夫
10:20 – 10:30 休憩
10:30 – 12:30 外出・昼食(公園散策など)
12:30 – 12:50 休憩
12:50 – 13:20 実技:リラクゼーション法
13:20 – 13:40 講義:良眠を得るために
講義:悪化を防ぐために
13:40 – 13:50 修了式
解散