研究センター

慶友手の外科センター

手の外科とは

主に手関節、指関節を専門とする領域です。手指はとても繊細な領域で手指特有のきめ細やかな作業を行う際には多数の筋肉・腱、靭帯、神経、関節が相互に関与して行われます。そのため、様々な病気、怪我が起こりやすい領域です。当院では伊藤恵康名誉院長、堀内行雄院長、伊藤雄也手の外科センター長の3名の日本手の外科学会認定専門医を中心に複数名の手の外科医が診療を行なっております。

代表疾患

橈骨遠位端骨折

プレート固定術後のレントゲン画像

橈骨遠位端骨折は転倒した際に手をついて受傷しやすい骨折で骨折しやすい4大骨折の一つです。
骨粗しょう症の方など骨密度が低い方は軽く手をついた場合にも起こる事もあります。

プレート固定術後のレントゲン画像

主な治療方法として骨折部位に転位(ずれ)が生じていなければギプスによる固定を行い、転位が生じているようであれば手術により転位を元の位置に戻して金属プレートによる固定を行います。
近年は固定材料が改良されてきており、術後早期のリハビリテーションが可能となってきております。

母指CM関節症

加齢や使いすぎにより母指の付け根の関節の亜脱臼(ずれ)や軟骨がすり減っていき、痛みを引き起こす疾患です。
初期では重たいものを持つ、母指・示指で物をつまむ、瓶のフタを空ける際に痛みを生じますが、進行してくると母指の変形を来したり、母指が開かなくなってきます。
当院では注射やリハビリテーション(運動療法・装具療法)の保存療法を行い、改善が見られない場合には骨切り術を行なっております。骨切り術とはアライメント(骨の形状)が崩れた骨を適切な形に調整するように骨切りを行い、母指を開くようにし(拡げる)、亜脱臼の改善を目指す手術です。

母指CM関節症
母指CM関節症

ブシャール結節

母指CM関節症

指の第2関節に変形、腫脹、疼痛と可動域制限をきたす疾患です。
特に閉経前後や更年期以降の女性に多くみられます。
保存療法(テーピング・注射・装具療法)を行い、痛みの改善が見られない場合には人工関節等の手術療法を行なうこともあります。

バネ指

バネ指

糖尿病や使いすぎ、女性ホルモンの影響により指の腱が腫れてきてしまい、腱鞘(腱が浮かないようにする組織)を通過する事ができなくなってしまいます。
治療方法としては注射や安静により炎症症状の軽減を図ります。
これらの治療にて症状が残存する場合には腱鞘切開術を行います。

デュピュイトラン拘縮

デュピュイトラン拘縮

手のひらの膜(腱膜)が肥厚したり、硬結(しこり)のようなものが出現し、手指(主に小指とくすり指)が伸びにくくなります。
糖尿病の人に多く見られます。
注射を中心とした薬物療法がありますが、テーブルの上に手を平らに置くことができないほど手指の動きが制限されている場合など日常生活に支障を来す場合、手掌腱膜を切開する手術療法が必要となります。

手根管症候群

使いすぎにより手首の手のひら側の神経が締め付けられ、指先にしびれが生じ、進行してくると母指が他の指との間で物をつまみにくくなる(対立動作)疾患です。
初期段階の治療としては安静、注射や装具療法により炎症症状の軽減を図ります。
保存療法にて改善が見られない場合には手根管開放術や母指の対立動作改善のため腱移行術の手術治療を行います。

ドケルバン病

ドケルバン病

使いすぎや授乳期などの女性ホルモンの影響により母指の付け根の腱鞘部分の炎症を起こしてしまう疾患です。
治療方法としては安静、ステロイド注射等がまず第一選択として行われ、それでも改善がみられない場合には手術療法を行う場合があります。